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石巻市の大川小学校訴訟・裁判「14億2600万円あまりの損害賠償」を命じるも、石巻市控訴予定?

「大川小学校の悲劇」石巻市の大川小学校訴訟・裁判

2011年3月11日の東日本大震災で石巻市の大川小学校では全校児童108人のうち実に74人が犠牲になりました。安全であるはずの学校で多数の児童が犠牲になった出来事は、「大川小学校の悲劇」ともいわれています。

このうち23人の児童の遺族が石巻市と宮城県を相手に総額23億円の損害賠償を求めました。

訴えを起こしたのは、いまだに行方不明のままの子どもも含め、大川小で津波の犠牲になった23人の児童の19家族(夫婦10、父親のみ9)の計29人。請求額は、児童1人あたり1億円、総額23億円に上る大型訴訟となる。

■裁判の争点

遺族側は、『津波が来るのを予測できたのに学校の裏山に避難させるなどの対応を取らなかった過失が学校側にある』と主張しています。

これに対して市と県は、『学校は海岸から4キロも離れていて津波の到達は予測できなかった。裏山はがけ崩れの恐れがあって避難は困難だった』として双方の主張は対立していました。

 

■10月26日判決「14億2600万円あまりの損害賠償を命じる」
東日本大震災で、学校管理下の児童74人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校の23人の児童の遺族19家族が、市と県を相手に総額23億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10月26日に行われ、仙台地裁(高宮健二裁判長)は、学校側の過失を一部認め、14億2600万円あまりの損害賠償を命じた。

☆判決の内容と今後の影響
仙台地裁は10月26日、「教員らは大津波の襲来を予見でき、裏山に児童を避難させるべきだった」と学校の責任を認め、計約14億2660万円の支払いを命じた。学校の管理下で震災の津波の犠牲になった児童生徒を巡る司法判断は初めて。

 高宮健二裁判長は「教員は、自らの判断で避難できない児童の安全を確保すべき義務を負う」と指摘。海から約4キロ離れた大川小は、市の津波浸水予想区域からも外れていたが、「津波が来る7分前の午後3時30分ごろ、市広報車が高台への避難を呼び掛けており、教員らはこの段階で大津波の襲来を予見し、認識した」と認定した。

 津波の襲来直前に校庭近くの北上川堤防付近(三角地帯、標高約7メートル)に避難を始めた点については「小走りで1分程度で行ける裏山は学習で児童も登っており、避難場所として何ら支障がない。堤防付近への避難は不適当だった」と結論付けた。

 遺族側代理人の吉岡和弘弁護士は「子どもたちの声が届いた。原告らが望んでいた結論、判決を頂いた」と評価した。

 亀山紘石巻市長は「結果を重く受け止めている。判決内容を精査し、対応を決めたい」と説明。村井嘉浩知事は「家族の心痛は大きく、思いを受け止めなければならない。市と協議し、対応を判断したい」と述べた。

 判決によると、2011年3月11日午後2時46分に地震が発生し、大川小教職員は約45分間、児童に校庭で待機するよう指示。市広報車が高台への避難を呼び掛けた約7分後の午後3時37分ごろ、北上川堤防付近へ向かう途中で高さ8メートルを超す津波にのまれ、児童74人と教職員10人の計84人が死亡・行方不明になった。

 遺族は14年3月に提訴し、今年6月に結審した。同地裁で言い渡された津波訴訟判決は6件目。行政の賠償責任が認められたのは、東松島市野蒜(のびる)小を巡る訴訟(仙台高裁で審理中)に続き2件目となる。

 ●教育現場に大きな影響を与える可能性あり
この判決は、学校管理下における惨事としては我が国では例を見ない犠牲者を出した大川小を巡り、東日本大震災における施設管理下での津波被災事故の裁判というだけでなく、学校に預けられた子どもたちの命を教員がどう守るのかという学校防災の基本を問う判断が示されるという点で、教育現場に与える影響は大きいと注目が集まっていた。

 遺族は裁判で、児童が津波の犠牲になったのは、学校が事前の安全対策を怠った上、大津波警報発表下でも、徒歩1分でたどり着く裏山があるにもかかわらず、児童を校庭に長時間待機させ、速やかに安全な高台に避難しなかったためだと訴えてきた。また、事故後に救命要請を行わなかった学校や、説明を尽くそうとしてこなかった市教委の不適切対応のあり方についても、問題があったとしていた。

 一方、市と県は、教職員が学校までの津波襲来を予見することは不可能だったと主張。その理由として、地域には過去津波に襲われた記録がなかったことや、当時の津波浸水予測図では「大川小までは到達しないものと予測されていた」ことを挙げている。地震発生直後には、教職員が様々な形で情報収集を行い、想定通りに避難行動したために、情報収集義務違反や結果回避義務違反はなかったとしていた。
 つまり、市と県は「津波が学校まで到達することを事前に予見できなかった」と反論してきたものの、遺族側は「万一、津波が来たときの子どもたちへの危害発生を予見すべき義務を怠ったのは学校側の落ち度」だと主張。「津波の予見性」とは何かという中身を巡って、真っ向から対立していた。

  判決で高宮裁判長は、「市の広報車が高台への避難を呼びかけていることや、ラジオで津波予想を聞いた段階では、教員らは津波が学校に襲来することを予見し、認識した」と認定。その上で、「津波を回避できる可能性が高い裏山ではなく、避難場所としては不適当というべき(川沿いの)交差点付近に向かって移動しようとした(生存教諭を除く)教員らには、児童らの死亡回避義務違反の過失がある」と指摘した。

大川小学校訴訟・裁判では大災害時でも臨機応変な対応・措置を学校に求める内容となっており、今後、全国の教育現場に大きな影響を与える可能性がある。


■石巻市控訴予定 仙台地裁判決を不服として
東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった宮城県石巻市大川小の児童23人の19遺族が市と宮城県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟で、学校の責任を認めた仙台地裁判決を不服として、市が控訴する方針を固めた。市議会の議決を経て正式に決める。県も市に歩調を合わせるとみられる。

 亀山紘市長は河北新報社の取材に「判決を見た限り、受け入れられない内容を含んでいるので控訴したい」と話した。

 市は30日にも市議会臨時会を招集し、控訴提起に関する議案を提出する。

 県側代理人は取材に「最大の争点になった津波到達の予見可能性について、他の津波訴訟と比べ検討が不十分だ。控訴審で判断を仰いだ方がいい」との見解を示した。

 原告団の一人は「犠牲になった子どもの命や未来の命よりも、組織や自分の立場を守るために裁判と向き合っていると感じ、残念。行政や教育関係者が子どもの命を守らなくてもいいとの主張を繰り返すのか」と憤った。