被災地南三陸町&気仙沼の漁港で春の漁 シロウオ&コウナゴ
■シロウオ漁最盛期・南三陸町
東日本大震災で大きな被害があった宮城県南三陸町の伊里前川河口で、伝統のシロウオ漁が最盛期を迎えている。
「ザワ」と呼ばれるV字の石組みを川幅いっぱいにつなぎ、海から遡上(そじょう)するシロウオを捕獲する。ハゼ科で体長5センチほど。先端部の籠に追い込まれたシロウオは、透き通った体をピチピチと躍らせていた。3月下旬に始まったことしの漁は、天候が安定した日が続き豊漁だという。
地元で代々受け継がれる伝統漁は震災で従事者が減り、いまは6戸で守る。津波で自宅を流され、仮設住宅から漁場に通う渡辺千之さん(66)は「95歳まで漁を続けた母から引き継いだ。震災に負けないで技を守っていきたい」と語った。
17日に南三陸町の伊里前福幸商店街で恒例の「しろうおまつり」があり、躍り食いやシロウオすくいが楽しめる。漁は6月下旬、シロウオが産卵を始めるまで続く。
■気仙沼魚市場に5月2日、コウナゴが初水揚げされた。気仙沼地方では、イサダ漁が終了してから水揚げが始まるが、前年より1週間早い水揚げとなった。
歌津の引き網船が405キロを水揚げした。コウナゴはメロウドの稚魚で、体長3~5センチ。魚体は透き通っている。気仙沼地方では「シラス」とも呼ばれている。
干したり、つくだ煮、卵とじ、かき揚げ、おひたしにしたりしてもいいが、買い受け人は「釜ゆでしたシラスを、ほかほかのごはんにのせて食べるのが最高」と話す。
この日は、初めての地物とあって前年のキロ平均価格より約40円高い123円で取引された。連休明けに本格化する。